環境法令(REACH規則等)

医療機器は、製品の法規制があってよくわからなくなりますが、製品以外には、環境の法規制も確認しないとなりません。

 

これは、医療機器に限らずすべての製品に関係するので、当たり前になっています。

しばらく前に、ISO規格への適合が必須といわれていたころは、ISO9001とISO14001のISO規格の認証をとっている企業が多かったですが、これがまさに、ISO9001は、製品に関する規格で、ISO14001が環境に関する規格なわけです。

ものづくりをするにあたっては、この2つから逃れられない、といっていいのです(ISO9001は、医療機器では、ISO13485ということになります。)。

 

 

 

医療機器の製造販売については、化学物質の法規制もあるので原材料の確認が必要です。


これは、医療機器にかかわらず、すべてのものに適用されるので、製造業のすべてにかかわるものです。


医療機器についていえば、この化学物質の法規制を守ることで、原材料の人体への影響などの心配がなくなるものにもなります。

基本的には、原材料メーカーが、法規制(法律)上、環境や人体に悪いものを生産できないようになっているので、法規制に対応していないものは、流通していないので、ほとんどの場合は問題がないと考えていいと思います。


しかし、問題がないことを証明しておかないとならないので、文書管理が必須となっています。


先進国の規制物質の主要な法律は下記になりますので、これを把握しておけばほとんどの場合は問題ないといえます。


そうわいっても、全体像がわかりにくく難解です。

 

 

<日本> 

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法(化学物質審査規制法))

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律 (化管法、PRTR法(化学物質排出把握管理促進法))
※化管法(PRTR法)では、指定された物質についてSDS(安全データシート、2011年度まではMSDSという名称)を提供することを義務付けています。

毒物及び劇物取締法(毒劇法)

 

<EU(欧州)>

化学物質の登録、評価、認可および制限(REACH規則)

 


<アメリカ>

有害化学物質規制法(TSCA)

 

 

基本的には、リスト化された有害な物質を使ってはいけない、というものです。

微量にわからないうちに含まれるものなどもあるので、含有量のレベルも決まっています。

しかし、なんらかの理由で、有害であっても使わないと製品が成り立たないという物質もあるわけです。


そういうものは、行政機関に承認をもらうなどの方法が必要になってきます。


したがって、使用している原材料に有害物質がないかを確認して、あった場合には、製造販売できない、ということになるか、 申請をして認めてもらうか、ということになります。


基本的には、申請をして認めてもらうのは、ほぼ不可能なので、代替材料を探すなどの方法になります。

これは、法律で守らないと犯罪となりますので、対応が必須になります。

基本的には、原材料メーカーが規制を受けるものですが、欧州のREACH規則に関しては、成形品、というものが規制対象になっています。

成形品とは、射出成形でつくるプラスチック部品のみをさすのではなく、形作られたもの、つまり製品や部品を意味します。

したがって、ほとんどは原材料に関する規制なので、原材料メーカーが規制を受けますが、REACH規則に関しては、製品や部品単位で規制を受けるため、原材料メーカー以外の製品や部品を作る製造業全般で個々に対応が必要になりますので、詳細を把握しておかなければなりません。

 

自動車や電気電子製品等は、ELV指令やRohs指令などの個々の環境法規制(製品種類ごとの使用後のリサイクルに関するもの)もあるので、製造業でも個々の対応もありますが、REACH規則は物質そのものに関する 法律(製造時の使用時の物質に関するもの)なので、すべての製品が適用となります。逆にいえば、REACH規則をおさえておけば、その他の環境法規制はクリアできる、と考えていいと思います。ですので、まずはREACH規則をしっかりクリアすればよい、ということにもなります。

必須の環境法規制と言えますので、理解しておかないとなりません。

 

環境法規制も目的が健康被害の安全性の問題やリサイクルなどの環境問題など違っているため、いくつも存在して複雑化していますが、法律ですので、 それぞれ確認して対応していくしかありません。

 

 

<REACH規則とは>

Registration,Evaluation,Authorisation,Restriction and Chemicalsの略で、2007年6月1日からスタートした欧州の化学物質管理における法規制です。


EU域内で製造・使用される化学物質はRegistration(登録)、Evaluation(評価)、Authorisation(認可)、Restriction(制限)の義務が課されることになります。

基本的に、規制を受けるのは、欧州の企業です。REACHは、欧州の法律ですから、外国の企業は対象にはなりません。


しかし、欧州で流通するには、欧州の企業が必ず必要ですから、欧州の企業に輸出していれば、そこから必ず取引先の日本などの海外の企業に調査の依頼がくることになります。


したがって、結果的に欧州に輸出する企業も対象になります。
(欧州に現地法人があれば、そのものですし、顧客であれば、契約書で同様の責任を負うことになります。)

 

REACH規則は、登録、評価、認可、制限、という4つの要素からなっています。
この4つの要素について、確認して対応しないと法律違反となります。

 

概要は下記になります。

 

<登録>

1事業者あたり、年間1トン(製造物そのものの重量)以上製造、輸入する場合は、事業者の登録が必要です。これは、欧州の企業単位になるので、その企業が1トン以上の流通量があれば対象になります。

 

<評価>

行政機関である欧州化学品庁が、登録された事業者を評価します。

 

<認可>

SVHC(substances of very high concernの略)といわれる高懸念物質が、0.1wt%以上含まれる製品は、記載された日から45日以内に製品に表示(物質名、安全に関する情報)しなければならない。登録された企業が、0.1wt%以上含まれる製品がある場合は、行政機関(欧州化学品庁(ECHA、Europe Chemical Agency))に通知(届出)しなければならなりません。SVHCの中でも認可対象物質になっている物質を0.1wt%以上含まれる製品は、認可をとらないと流通できませんが、認可をとるのは難しいので、実質的には認可対象物質は使用できません。

 

<制限>

制限対象物質は、制限条件内(含有量、用途など)でのみ使用できます。制限条件内でない場合は、製造販売流通できません。

 

 

 

 

簡単に言えば、認可対象物質のリスト(2つのリスト(SVHC候補リスト、認可対象物質リスト))と制限対象物質のリスト(1つのリスト)の合計3つのリストを確認して、規定量以上の含有がなければ、問題ありません。


SVHC候補リスト(SVHCリスト)の物質が、0.1wt%以上含有していても表示をすれば、製造販売することができます。
認可対象物質が、0.1wt%以上含有していれば、認可をとらないと製造販売できません。

しかし、認可をとるのは困難なので、認可対象物質は、使用できない物質と考えるのが通常です。


制限物質は、制限内でのみ使用可能で、制限外では使用できません。

 

しかし、調査しなければ、問題ないかどうかわからないわけですから、調査をすることが必須となってしまいます。

こういった成分分析(質量分析という分析法で確認できる)を請け負う業者もいてビジネスになっています(ISOの認証などを行う認証機関でもやっています)。

したがって、成分分析をすることが難しいわけではありませんが、コストの問題が発生するわけです。

コストは、物の内容や何種類の物質を分析するかによって異なると思われますが、1部品でも10~20万円ぐらいになるかと思います。)

 

 

<REACH規則:高懸念物質(SVHC)の確認>

SVHCとは、substances of very high concernの略で、和訳で、高懸念物質、ということになります。
単純には、SVHCリストに挙げられた物質を使用していはいけない、というものです。
使用する場合は、手続きが必要となりますが、原則使用禁止ということです。

 

このSVHCリストが、ややこしいので注意が必要です。
SVHCについて確認すると、2つのリストがでてきます。

 

(1)

SVHC認可対象候補物質リスト(Candidate Listといわれる、2020年1月時点で205物質あります。2020年時点で200種類程度、半年に1度見直しされ追加されて増えていきます。)

 

(2)

SVHC認可対象物質リスト(Authorisation Listといわれる、2020年1月時点で43物質あります。最終的にはおよそ1500物質になると言われています。)

 

(1)、(2)とも原則使用禁止となっています。


(1)の中から、(2)が選定されるので、(2)の物質は、(1)のリストに記載があります。
(1)のリストを調査して、該当物質があった場合には、(2)の該当物質でないかを調べる、という手順になります。

 

 

(1)が、SVHCリスト、と言われています。

このリストの物質を0.1wt%(0.1重量%)以上含有する製品は、この物質についての安全情報を製品に表示しなければなりません。したがって、このリストにある物質があるか確認する必要があります。

表示をすれば使用できるので、使用できない物質ではありませんが、安全性が確認されて表示されている必要があります。

 

(2)は、SVHCの認可対象物質といわれるもので、このリストにある物質を使用する場合は、認可申請をしなければなりません。

しかし、認可申請を通すのは難しいので、使用禁止と理解したほうがいいといわれています。

 

また、(1)は、半年に1回追加されて増えていきますので、継続的な確認が必要なので、やっかいです(厳密には、すでに候補物質があり調査が終わっていないためすべての物質を掲載できないという状態になります。調査が終わって登録ができる状態になる物質が随時でてくる、ということになります)。

新製品だけでなく、すでに製造販売している製品でも、該当すれば、追加対応が必要となってしまいます。
(1)の更新に伴い、(2)も不定期に更新される可能性もあるので、更新されたかどうかの確認は必要です。

 

 

ちなみに、以下の用途には適用が除外されています。


(a)研究開発の用途
(b)植物保護製品
(c)殺生物性製品
(d)ガソリンおよびディーゼル燃料など自動車燃料
(e)可動式または固定式燃焼プラントにおける燃料
(f)化粧品における使用
(g)食品包装容器における使用
(h)調剤中のPBT、vPvB、内分泌かく乱性物質の濃度が0.1wt%未満

 

 

 

<REACH規則:制限対象物質の確認>

REACHには、SVHCリスト以外に、この制限対象物質リストもあります。
制限対象物質は、2020年1月時点で73物質があります。


物質のリストは、不定期に更新されることがあるので、継続的な確認が必要となります。
制限条件内でのみ使用可能で、制限条件外では使用禁止になります。

例えば、含有量がどこまでなら可、この用途なら可、といった条件などです。
したがって、制限対象物質リストの確認も必要となります。

 

 

しかし、制限対象物質は、基本的に使用禁止で、問題はあっても使用可能なSVHC物質と異なり、
認可や届出という処理がありませんから、よほど特殊な場合以外は、使用していない前提と考えていいと思います。
使用する前に、制限対象物質ではないので使う、ということになると思います。
(要は、使用する際にわかる物質、ということになりますので、調査しないとわからないというケースは少ない。)

 

SVHC物質の調査が定期的に必要なのは、使ってもよい物質になっているので、どのぐらい使われているかわからないから調査することになります。
したがって、SVHCの調査は、製造業であれば、当たり前に実施されているのです。

 

ちなみに、以下の用途には適用が除外されています。

(a)科学的研究開発に使用される物質
(b)化粧品用途における物質